奇跡のラストピース
バラバラのジグソーパズルのピースの中から、絵柄を見ずに1つを選んでもらいます。テーブルの上に置いてあった布をどけると、そこには完成したパズルがあり、1ピースが欠けています。選んでもらったピースを合わせると、なんと、ぴったりとはまってパズルが完成します!
メンタルマジックの大家であるアメリカ人のリー・アール氏は1997年、自身の著書『SYZYGY』の中でこのマジックの原案、Puzzling Perceptionを発表しました。観客の選ぶジグソーパズルのピースを、完成されたパズルで予言するいう現象は、世界中の多くのマジシャンが『自分も演じてみたい』と思わせる強い魅力がありました。その結果、考案者の了解なく、現象だけを模した多くの商品が販売される結果となりました。
リー・アール氏は著書の中で「ピースを選ばせる際、プラスチックバッグや封筒など、余計な道具を使って『改良』しようとしてはならない」と主張していました。しかし残念ながら、販売された多くの商品は、特定のピースを選ばせるために、特殊な仕掛けのあるバッグなどを使うものでした。
テンヨーでもこの魅力的な現象をいつか商品化したいと数年に渡り検討を続けてきましたが、肝心のピースを選ばせる方法を見いだせずにいました。それはまた、アール氏の正式な販売許諾を得るためには、考案者の主張に沿う解決策でなければなりませんでした。
『奇跡のラストピース』で使われている秘密は100年以上前からある古い原理の応用ですが、まさに一切の余計な道具を使うことなく、広げられたピースの中から一つを選ばせる方法です。その後の交渉の中でテンヨーの方法を知ったアール氏も「自分が思いつくべき方法だった」と評価し、たいへん喜んでくれました。
原案:リー・アール
新しい仕掛けの考案:小宮賢一