スマートギロチン
刃の形をした黒いプラスチックの板を、透明のスタンドにセットします。スタンドに開いた穴に、丸めたお札や相手の指を入れ、一気に刃を下ろしますが…もちろんお札や指が切れることはありません!ショッキングな現象ですが、全く安全で不思議なマジックです。
「ギロチン」はマジッククリエイターにとってはいつかは挑戦したい魅力的なテーマで、これまで世界中でさまざまな仕掛けが考えられてきました。ギロチンマジックの面白さは、貫通マジックの不思議さと「自分の指が切り落とされるのでは…?」というスリルが合わさるところにあります。
テンヨーでもギロチンマジックの古典的な仕掛けをより不思議にアレンジした「シースルーギロチン」(1977年・菅原茂 考案/製造終了)という製品がありましたが、この「スマートギロチン」はこれまで貫通マジックに使われたことのなかった原理が使われており、マジックの専門家でもその仕掛けを見破ることは難しいでしょう。
黒い板は、最初に相手に指で軽くたたいたりこすったりしてもらい、硬くて継ぎ目のないプラスチックの素材であることを確かめさせられます。また、スタンドは透明で何かが隠れるような空間もありません。するとどう考えても、下ろされたその「刃」はお札や指を迂回しようがない…というのがこのマジックの最大のミステリーです。
その意外な仕掛けを知ったとき、なぜ「スマート」と銘打っているかかがよくわかることでしょう。
考案:熊澤隆行